IntelliJ IDEA 2025.2 の新機能

Spring デバッガーは、開発者による Spring アプリケーションの理解とトラブルシューティングの方法を根本的に改善します。 このデバッガーは、実行時の動作に関するインサイトをリアルタイムに IDE へ取り込みます。 ロードまたはモック化されている Bean の確認、ソースの追跡によって解決された構成値の検査、および有効なデータベース接続とトランザクションの状態の監視が可能です。 環境変数かプロファイル固有の構成がソースの場合でも、Bean の定義をリアルタイムに評価してプロパティ値をトレースできます。 詳細は、このデバッガーに特化したブログ記事をご覧ください。

このデバッガーを使用するには、JetBrains Marketplace からプラグインをインストールしてください。 アプリケーションを Debug（デバッグ）モードで実行するだけで、追加の構成は必要ありません。 今後のリリースでは、Spring デバッガーは IntelliJ IDEA にバンドルされる予定です。

Spring Modulith の人気が高まっているため、バージョン 2025.2 の IntelliJ IDEA Ultimate では Spring Modulith チームの協力の下で信頼性の高いサポートを組み込みで提供するようにしました。

新しいチェック、修正、および提案は、モジュールの依存関係を管理し、明確なドメイン境界を徹底するのに役立ちます。 他のモジュールの Bean はコード補完ポップアップの警告アイコンで通知され、新しい Logical（論理）ビューでは Modulith 構造を一目で確認することができます。

これにより、DDD の原則に従い、IDE 内でモジュール式のイベント駆動型 Spring Boot アプリを構築するのが簡単になります！

JDK 21 で導入され、JDK 24 で改善された仮想スレッドは、Java の並行処理の実現に向けた大きな一歩となるものです。 しかしながら、仮想スレッドのサポートはツール開発者にとって技術的に難しい課題でした。 IntelliJ IDEA 2025.2 では理想と現実のギャップを埋めるため、デバッガーとスレッドダンプビューアーに重要な更新を導入しています。

このリリースでは、アプリが一時停止された場合やブレークポイントに到達した場合でも、スレッドダンプ内の仮想スレッドを収集して調査できるようになりました。 IDE には各仮想スレッドをロックしているオブジェクトが表示されるため、ボトルネックの診断に役立ちます。 ビューに大量の情報が表示されないようにするため、同一のスタックトレースを持つスレッドは自動的にグループ化されます。そのため、ダンプのサイズが大きくても調査しやすくなっています。

また、jstack や jcmd などのツールからもスレッドダンプを読み込めるため、並行処理の多いアプリのパフォーマンスの問題をより多くの方法で解析できます。

IntelliJ IDEA 2025.2 では、Scala 3 の不透明型と新しい汎用的なタプル演算が全面的にサポートされるようになりました。 不透明型が given、拡張メソッド、およびエイリアス境界と適切に連携するようになり、複雑なシナリオにおける推論が改善されました。 zip や concat などのタプル演算が補完や型の解決で認識され、サポートされるようになりました。

新しい SBT モジュールレイアウトがベータ段階を終了し、デフォルトで有効化されるようになりました。これにより、sbt main/test スコープ固有の設定が IDE により正確に反映されるようになります。 また、プロジェクトの同期によって sbt の管理対象ソースファイルが自動生成されるようになったため、ソースの欠落に起因するレッドコードが少なくなり、一般的な sbt プラグインの使用感が改善されます。

Scala 開発に関するすべての更新については、こちらのブログ記事をご覧ください。

IntelliJ IDEA 2025.2 では、データの操作に関する大きな改善が行われています。 従来の結果グリッドでは単純な SELECT クエリのデータしか編集できませんでしたが、 このリリースでは JOIN 句を含む SELECT ステートメントも直接編集できるようになったため、UPDATE ステートメントを手動で書かなくても非常に簡単に関連データを更新できるようになりました。

この新機能とデータベース関連のその他の改善点については、こちらをご覧ください。

最近の更新によってウェブ開発のワークフローが強化されたことで、コーディング支援が改善され、よりスマートなドキュメントの作成とより円滑なツール統合が可能になりました。 新しい TypeScript-Go 言語サーバーに対する実験的なサポートが提供され、より高速かつ正確な TypeScript プロジェクトの支援機能を得られるようになりました。

クイックドキュメントには Web Platform Baseline データが含まれるため、ブラウザーによるウェブ API のサポート状況をエディターを離れることなく簡単に確認することができます。 Bun も自動的に検出され、スクリプトの実行からパッケージのインストールに至るすべてが構成されるようになったため、最小限のセットアップでプロジェクトを開始することができます。

null 許容性の問題は、今も Java でよくあるバグの原因の 1 つです。 JSpecify は null 許容性アノテーションに対して統一されたライブラリベースの標準を適用し、ライブラリ、ツール、および言語自体を含む全体の一貫性を確保することを目的とするものです。 バージョン 1.0.0 がリリースされ、Spring Framework 7 などの大規模なプロジェクトでの効果が実証された JSpecify は、業界の標準となる存在として位置づけられています。

JSpecify の採用を支援するため、IntelliJ IDEA で JSpecify のアノテーションを JetBrains 独自のアノテーションと同様に第一級オブジェクトとして扱うようにしました。 IntelliJ IDEA には固有の静的解析機能があるため、ジェネリクスやコレクションを伴う複雑なシナリオでも null 許容性を検出することができます。 また、Kotlin は Java コードを解析する際にもこれらのアノテーションを考慮し、複数言語での null 安全性を向上させます。