このリリースでは Community ユーザーの統合版 PyCharm への移行が完了し、リモート開発における全面的な Jupyter ノートブックのサポート、環境マネージャーとしての uv のデフォルト化、プロアクティブなデータ探索、LSP ツールを介した Ruff、Pyrefly、Pyright、Ty のサポート、Claude Agent の導入、および 300 件以上のバグ修正が行われました。
以前お知らせしたとおり、PyCharm 2025.2 が Community Edition の最後のメジャーリリースとなりました。 PyCharm 2025.3 では、Community ユーザーを統合版 PyCharm に円滑に移行するためのパスが導入されています。 統合版ではすべての機能が 1 つの製品に集約されています。Community ユーザーは引き続き無料で PyCharm を使用できますが、Jupyter ノートブックの組み込みサポートも利用できるようになりました。 ワンクリックで Pro の無料体験を開始するオプションもあるため、データサイエンス、AI/ML、およびウェブ開発向けの高度な PyCharm の機能をこれまで以上に簡単に試せるようになっています。
ソースから独自バージョンをビルドしたい方のために、この PyCharm のオープンソースコンポーネントを引き続き GitHub および GitHub Actions で提供しています。 詳細な手順については、リポジトリをご覧ください。
Jupyter ノートブックがリモート環境で全面的にサポートされるようになりました。 ノートブックをローカル環境にコピーせずにリモートマシンで直接開き、編集と実行を行えるようになりました。
以下を含むノートブックのすべての基本機能を利用できます。
また、対話型テーブルを使用してインラインでデータの絞り込み、並べ替え、探索を行ったり、Data View(データビュー)ツールウィンドウで大規模なデータセットを開いたりすることも可能です。
Jupyter ノートブックの Variables(変数)ツールウィンドウ で名前または型による並べ替えが可能になりました。また、DataFrame が常に上部に表示されるようになったため、大きな表形式データの場所を特定して開くのが容易になりました。
uv がシステム上で検出された場合、PyCharm の New Project(新規プロジェクト)ウィザードでデフォルトの環境マネージャーとして自動的に提案されるようになりました。
以前に別の環境マネージャー(venv、Conda、Poetry など)を選択していた場合は、PyCharm に記憶されている設定が引き続きデフォルトで使用されます。 uv で管理されるプロジェクトでは、uv run は実行構成用のデフォルトのコマンドとしても使用されます。
また、環境をセットアップする際に Python のバージョンをリストから選択できるようになりました。uv が対応するシステムバージョンを使用するか、適切なものをダウンロードして管理します。
PyCharm が pandas DataFrame を自動的に解析し、よくあるデータ品質の問題を検出するようになりました。
df、df.head()、またはスライス式などを使用して DataFrame を表示する際、PyCharm は常に DataFrame をスキャンして以下のような問題を探します。
検出された問題を確認し、Fix with AI(AI で修正)オプションを使用すると、問題を解決するコードが新しいセルに自動的に生成されます。
このプロアクティブな解析ではヒューリスティックチェックと統計的チェックのみが使用され、AI クレジットは消費されません。 バックグラウンドでサイレントに実行され、問題が検出された場合にのみ機能するため、スムーズで中断のないワークフローを維持できます。
非常に大規模なデータセットの場合、最適なパフォーマンスを維持するために解析は自動的に開始されません。 このような場合は、More(その他)メニューから手動で実行できます。
この機能はデフォルトで有効化されていますが、Settings(設定)| Python | Tables(テーブル)| Run data quality checks after table creation(テーブル作成後にデータ品質チェックを実行する)で管理できます。
詳細は、プロアクティブなデータ探索をご覧ください。
PyCharm 2025.3 では Astral、Microsoft、および Meta エコシステムの新しいツールとの言語サーバープロトコル (LSP) 統合が拡張されています。
PyCharm の既存リンティング機能を補完する Ruff を使用し、この IDE 内でコードを直接整形できるようになりました。
このリリースでは、Astral の高速・軽量な型チェッカーである ty も新たにサポートされており、広く使用されている Microsoft の静的型解析エンジンである Pyright の統合も導入されています。
また、PyCharm でコーディング中に推論された Python の型をインライン表示する Meta の Pyrefly をサポートするようになりました。 これにより、他のインスペクションやツールチップに頼ることなくすぐに型情報を表示できるようになっています。
これらの統合を有効化するには、Settings(設定)| Python | Tools(ツール)を開き、そこで個別にオンにできます。
詳細は LSP ツールをご覧ください。
BYOK は OpenAI、Anthropic、または任意の OpenAI 対応ローカルモデルの独自 API キーの接続を可能にします。それにより、JetBrains IDE でより柔軟に AI を使用し、使用方法を詳細に管理できるようになります。 JetBrains AI にログインせずにお気に入りの AI チャットとエージェントを使用できるようになるため、すでに API キーを所有しており、好みのプロバイダーと連携させたい開発者に最適です。 この機能は、次期 2025.3.x リリースで公開される予定です。
1 つのチャットからお好みの AI エージェントを使用できます。JetBrains の Junie と Claude Agent を AI のインターフェースで直接使用できるようになりました。 Claude Agent は JetBrains IDE にネイティブ統合された初のサードパーティ AI エージェントです。 このエージェントの追加により、JetBrains は開発ワークフローにさらなる柔軟性と性能をもたらすマルチエージェントエクスペリエンスを提供しています。
任意のエージェントを使用するには AI チャットで直接起動するのが最も簡単ですが、必要に応じて Junie プラグインの形で Junie を引き続き使用することもできます。 一部の機能(コストの高いタスクの警告など)はプラグインでのみ使用可能になりましたが、よく使用される機能は AI チャットに組み込まれています。
AI クレジットの残量、更新日、チャージ残量を PyCharm 内で直接確認できるようになったため、AI リソースの監視と管理が大幅に簡単になりました。
PyCharm に IDE が実行したすべてのコマンドとその完全な標準入力、出力、エラーストリームを表示する専用の Python Process Output(プロセスの出力)ツールウィンドウが実装されました。
コマンドはアクティビティの種類(パッケージ管理、スケルトンの生成、その他のバックグラウンドタスクなど)でグループ化され、各エントリーにはタイムスタンプが付与されます。 長い出力の展開または折りたたみ、環境変数の検査、および各実行で使用された作業ディレクトリの確認が可能です。
このツールウィンドウでは非ユーザープロセスの表示状態を切り替えるための視覚的なインジケーターとフィルターを使用し、ユーザーが実行したアクションとバックグランドコルーチンが区別されます。
この初回リリースでは、プロジェクトを開く際のモーダルエラーダイアログがこの新しいツールウィンドウに置き換えられています。これにより、エラー情報がポップアップに隠れることなく常に表示されるようになっています。
エディター内ですべてを直接記述、適用、管理できるようになったため、データベースとサービスのデプロイがさらに簡単になりました。
上部に表示されるクラスターと名前空間セレクターでコンテキストを維持し、ライブリソースステータスアイコンですぐに問題を発見できます。 環境変数の欠落や pod の失敗で苦労していませんか? それらをワンクリックで即座に修正し、マニフェストを離れずにデプロイし直すことができます。
エディター内のシークレット管理を使用し、サービスのセットアップを保護できます。 YAML からデータベース資格情報を直接閲覧し、コピーできます。
接続する必要がありますか? ワンクリックのポート転送機能を使用してコンテナーのポートを転送し、シークレットを自動読み込みし、データベースまたはサービスに数秒で即時接続を設定できます。
デプロイ、デバッグ、接続まで、すべてを 1 箇所でシームレスに行えるため、集中を維持してよりスマートに作業することができます!
PyCharm 2025.3 では DataGrip 2025.3 のエンジンの最新アップデートが反映されており、新しいデータベース機能とワークフローの改善が取り込まれています。 ハイライトは次のとおりです。
PyCharm のデータベース機能はすべて DataGrip のエンジンを使用しています。 そのすべての詳細は、DataGrip 2025.3 のリリースノートをご覧ください。
PyCharm 2025.3 にはバンドルの JavaScript and TypeScript プラグインを介して WebStorm 2025.3 で行われた最新の改善がすべて取り込まれています。 ハイライトは次のとおりです。
詳細は、WebStorm 2025.3 のリリースノートをご覧ください。
PyCharm の外観が Islands テーマによって更新され、このテーマが新規および既存ユーザーのデフォルトに設定されました。既存の機能に変更はありません。 このテーマは単に視覚的に新しいだけではなく、開発エクスペリエンス全体を極限まで快適にすることを目指す当社の取り組みを反映するものです。
タブをすぐに認識できるようにし、エディターのコントラストを改善し、作業エリアを明確に区分けし、角丸のデザインを採用したことで、ソフトでバランスの取れた環境にしました。これは、開発者が集中してコーディングに取り組みやすくするという 1 つの目標を中心に設計されたものです。
このテーマはダークモードとライトモードで使用可能で、Settings(設定)| Appearance & Behavior(外観 & 振る舞い)| Appearance(外観)で調整できます。
視認性を向上させた新しい非モーダルの Welcome(ようこそ)画面を導入し、よく使用するアクションにすぐにアクセスできるようにすることで、よりスムーズにワークフローを開始できるようにしました。
Welcome(ようこそ)画面が IDE 内の専用のタブに表示されるようになりました。このタブでは以下を実行できます。
この新しい「ようこそ」画面は、新規ユーザーに対してのみデフォルトで有効化されます。 既存ユーザーがこの画面を試したい場合は、Settings(設定)| Advanced Settings(高度な設定)| Welcome Screen(ようこそ画面)| Show the Welcome screen in non-modal mode('ようこそ' 画面を非モーダルモードで表示する)で有効化できます。
PyCharm が「requirements」を含む任意のファイル名(requirements-dev.txt、requirements_local.txt、または my-requirements.txt など)についてパッケージとバージョンを補完できるようになりました。 この補完は、対象のファイルがプロジェクト内にない場合でも機能します。
仮想環境の SDK を使用するプロジェクト内の requirements ファイルを編集する際のフローティングツールバーも追加しました。 このツールバーは、requirements ファイルを SDK のデフォルトに設定したり、パッケージを直接インストールしたりするのに便利です。
JetBrains は不具合の解消と型チェックの精度改善に尽力しています。 このリリースで取り込まれた 300 件以上のバグ修正のうち、代表的なものを以下に掲載しています。
and 演算子と or 演算子を使用する際に型を絞り込む動作の信頼性が向上しました。== または !=)を実行する際の NumPy 配列に関する誤検知が解消されました。@pytest.mark.usefixtures デコレーターを使用する際、コード補完で可能なすべてのフィクスチャが提案されるようになりました。